豊中の石澤整形外科はちょうど代替りの時でした。
新しいイメージの医院を建てることによって新規の患者さんが急激に増えました。
新しい医院を設計するにあたってのポイントは以下のことです。
1.視認性を高める外観
前面道路は豊中駅と千里中央を結ぶバスが頻繁に通り交通量が非常に多いところです。
歩行者の視線だけでなくバスや車からの視線もひきつけ、ここに石澤整形外科があることをイメージし認識させることを考えました。
ファサードの2階部分はブルーのラインを入れアクセントとしています。サインの位置も視線を考慮しています。
この建物はシンプルな形態をしていますがアクセントカラーを入れることで視認性を高め、医院があることをソフトに印象付けています。
2.患者さんの入りやすいエントランス廻り
以前の医院が閉鎖的で入りにくかったことから、ガラスの自動ドアで待合の雰囲気が伝わるように工夫しています。
またガラスブロックを使うことで夜間も歩道に光が漏れ明るく安全なイメージを作りました。
ガラスブロックは室内側では道路の喧騒を遮断しやさしい光を採り入れる役割も果たしています。
3.患者さんの不安感を和らげる待合
自分が医院に行ったときによく感じることですが、単調で無機質的な待合室はリラックスできないものです。
待合室は清潔なイメージの中に椅子やカウンター等にアクセントの色彩や素材を使うことでソフトで不安感を和らげる空間をつくりました。
アクセントカラーの選定は私たちなりにドクターのキャラクターを読みながらいくつかのパターンをパースで示して打合せながら決めていきます。こうした打合せはドクターとの医院のイメージ作りのベースとなります。
4.シンプルな診察室
診察室は医療機器が多いため部屋自体はシンプルで清潔感のあるものにしています。
ドクターや患者さんの椅子やデスクがアクセントになるため選定にはアドバイスしています。
但し、歯科医院の場合は患者さんが診察室にいる時間が長く、治療用チェアーを中心としたレイアウトになるためパーティションがアクセントとなってきます。
5.動線計画
患者さんの動線はユニバーサルでわかりやすく、スタッフ動線は機能的で動きやすく患者さんから見えにくいように配置しています。
造りつけ家具で空間を有効に利用した住宅部分
大阪府豊中市本町 7 丁目
http://ishizawa-seikei.com/
整形外科医院、住宅
延床面積 82.76㎡
鉄骨造 2 階建て
新築工事
2002 年 12 月竣工
建築と社会 2003 年 11 月号掲載