医院の内装の床材によく使われるものにビニール床シートやビニール床タイルなどがあります。
用語の説明
【ビニール床シート】
塩化ビニールを基材としロール形成した床仕上材で、90㎝幅でロール状になっています。
耐薬品性、耐摩耗性、に優れており、ジョイントを溶接処理するので耐水性も高い材料です。
水や薬品のこぼれやすい場所でよく使われます。「長尺塩ビシート」とも呼ばれています。
ビニール床シートでクッション性のあるものが「クッションフロアー」(CF)で、住宅でよく使われますし、
子供が怪我をしにくいように配慮して小児科医院などで使う場合もあります。
【ビニール床タイル】
塩化ビニールを基材としタイル状に形成した床仕上材です。
一般的には30㎝角から45㎝角の大きさです。(最近は変形のものも多い)
木目フローリグ調のものは9㎝~18㎝幅位でフローリングのように1枚ずつ貼ります。
耐磨耗性、耐久性に優れています。ジョイントは突き合わせとなります。
Pタイルという用語もよく使われますが、タジマの商品名で一般名称ではありません。
【ビニール床シート】【ビニール床タイル】は
軽歩行用(スリッパ使用)から重歩行用(土足)のものまであります。
又、特殊なビニール床シートでは移動荷重用や帯電防止機能などもあります。
【ラバータイル(ゴムタイル)】
ラバータイルは天然ゴム、合成ゴムを主原料にして作った床仕上げ用の内装タイルのことで、
厚手で、独特の弾力と歩行感があり、水に濡れても滑りにくいと言われています。
ビニ床タイル・ビニ床シートと比べるとコストは割高ですが、
寿命が長いので貼り替えのスパンが長いため、ランニングコストで考えるとメリットがあります。
但しラバータイルは輸入品が多く納期に時間がかかります。
また取扱メーカーが限られるので急がれる場合は充分注意して下さい。
種類が少ないので選択肢は限られます。
私はドクターからのご要望で最近使うようになりました。
医院のそれぞれの部屋の機能・特徴に合わせてビニール系以外の材料も含めて床材を選定します。
部屋の特性に適した床材
【待合室】
ビニール床タイル又はビニール床シートを使う場合が一般的です。
ビニール床タイルは石目のものや木目フローリング調のものがあり、
近年はリアルに石目や木目が表現されるようになりました。
私は落ち着いた雰囲気を演出するため石目や木目のビニール床材をよく使います。
石目のビニール床タイルはアクセントで色を変えたり飛び石風にすることで床面にリズムを作ることもできます。
小児科医院の待合では子供さんのケガを配慮してクッション性のあるビニール床シートを採用しました。
ビニール床系以外ではタイルカーペット、木質フローリング、コルク等もありますが、
メンテナンス性(掃除のしやすさ)ではビニール床系がすぐれています。
余裕があれば耐候性の高いラバータイルも適しています。
【トイレ、準備コーナー、手術室、分娩室】
ビニール床シートはジョイントをビニール溶接するため耐水性が高く、
床に水や薬品のこぼれやすい場所はビニール床シートがふさわしいです。
これらの部屋は、かつては湿式工法で磁器タイルを貼り水洗いしていましたが、
カビが生じやすく不衛生であることから、現在では乾式工法のビニール床シートを使うのが一般的です。
手術室には移動荷重に適したものを使います。
【診察室】
メンテナンス性のよさからビニール床系を使います。
診察室の一部が準備・作業コーナーになることが多いので、私はビニール床シートをよく使います。
余裕があれば耐候性の高いラバータイルも適しています。
【廊下】
ビニール床系やタイルカーペットが良く使われます。
産婦人科では子供さんが転ぶことを配慮して衝撃の少ないタイルカーペットを好まれる場合もありますが、
タイルカーペットは薬品や血の跡などの汚れが完全に取れないという欠点があります。
ストレッチャーを使われる場合は耐キャスター性の問題もあります。
床材は軽歩行用から重歩行用までグレードに合わせて様々な材料がありますので、
デザイン性も含め各室の特性にふさわしい材料を選ぶ必要があります。