医療関係では「親子継承」という言葉がよく聞かれます。
院長の年齢が60代後半から70前後になるとお子様のドクターが継がれるケースです。
継承されるドクターは40才前後が多いようです。
継承時のご相談は結構多く、新規開業と同じくらいあります。
建替えとリフォームのどちらがよいかは条件にもより一概に言えませんが、
ごく単純に考えれば新築にすれば最新の仕様の建築や設備を装備することができるしプランの制約もなく、
これからの耐用年数も当然リフォームより長いので建替えの方が好ましい様に思われます。
建替え(新築)
建替えの場合は内容規模にもよりますが、新築工事・解体工事で少なくとも1年位は必要となります。
近所に新築用地を新たに準備し営業を続けるか仮診療所を設けることになります。
新築の場合工事費はリフォームよりずっと高くなりますし、新たに土地を確保するとなると予算が膨れ上がります。
うまく隣地が購入できて増築されたケースもありました。
リフォーム(改装)
リフォームの場合は内容・規模にもよりますが、スケルトンにして外部も含め全面改装しても工期は長くて6カ月位までです。
この場合も近所に仮診療所を設ける必要があります。
仮診療所を設けず、工区分けを行い医院の一部で診療を続けたこともあります。
その場合は工期が長くなり割高になりますし、診察スペースが狭くなり診療内容に影響が出ることもあります。
また、騒音や不便さで患者さんにご迷惑をかけることにもなりますので、私は仮診療所を設けることをお奨めします。
旧耐震基準の場合
今まで親子継承でリフォームのご相談を受けた案件は内部をスケルトンにして、
レイアウトを変更し設備も最新のものに更新されること(いわゆるリノベーション)が多いようです。
この場合既存の建物は親ドクターが建てておられるので、昭和56年以前の旧耐震基準の場合が多く見られます。
(※旧耐震基準については、医院再生08;新耐震基準と旧耐震基準 にて解説しています。)
旧耐震基準に該当する場合は耐震診断を行われることをお奨めします。
また築40年近くたっていると建物や設備の老朽化が進んでいることもあり、リフォームしてもメリットがあるとは限りません。
建物を建てられた親ドクターの思い入れが強く、リフォームにこだわられる場合がありますが、
建築の専門家に建物調査を行ってもらって総合的に判断されることが大切です。
建替えかリフォームかは冒頭で書きましたように予算面や新築用地等の問題に十分対応できるのであれば建替新築がベストです。
しかしいろいろな条件からリフォームを考えられる場合は建築の専門家の意見も聞いて判断されることをお奨めします。
親子継承時に中途半端なリフォームをされることはお奨めしません。
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